【よくある相談例】
ある広島の中堅製造業の部長さんがふと漏らした言葉です。
「若手社員が、自分で考えて動こうとしてくれんのよね・・・
指示すりゃあやってくれるけど、先回りして動くことは少ないし。何かを任せても『これは自分の仕事すか?』っちゅう雰囲気を出してくる。責任感がないわけではないんだけど、なんだか受け身なんよね・・・」
こういった声に、うなずかれる方も多いのではないでしょうか。
現場を支える中堅社員や管理職が、若手にもっと主体性を発揮してほしいと願う気持ちがある一方で、若手も決してやる気がないわけではなく、「どう動けばいいのか」「どこまで任されているのか」がわからず、戸惑っていることも少なくありません。
こうしたギャップの本質は、「メンバーシップ」や「フォロワーシップ」の理解不足が要因の1つかもしれません。
今回のコラムでは、この2つのスキルについてお話をしたいと思います。
メンバーシップとフォロワーシップ──見過ごされがちな「働く姿勢」
「リーダーシップ」はよく語られますが、「メンバーシップ」や「フォロワーシップ」はまだまだ認知が進んでいないのが現状です。
メンバーシップとは、「組織の一員として、チームの成果にどう貢献するか」という意識や行動のこと。フォロワーシップとは、「リーダーを支え、主体的に役割を果たす」姿勢や働き方を指します。これらは、決して言われたことをやるだけの従属的な行動ではありません。むしろ、チームの目標や全体像を理解し、自ら考え、能動的に動く力です。
特に若手社員や中堅社員がこの考え方を持つことで、上司・先輩との連携がスムーズになり、組織全体の生産性や心理的安全性も高まっていきます。
しかし、こうした考え方は、学校教育や一般的な新人研修では十分に扱われていないことが多く、職場に出て初めて何となく求められるもの。だからこそ、育成の場面で意識的に伝え、対話を重ねることが重要です。
課題解決のヒント:「フォロワーシップはスキル」であると捉える
まず押さえておきたいのは、「フォロワーシップ」は先天的なものではなく、後天的に身に着けられる「スキル」だということです。
以下のような観点で育成や支援を考えてみると、組織に変化が生まれやすくなります。
1. 目的共有と情報の見える化
若手が主体的に動けないのは、全体の目的や意図が伝わっていないから、というケースが多くあります。
たとえば、「なぜこの業務をやるのか」「この作業がどんな価値につながるのか」を上司が丁寧に共有するだけでも、行動に前向きさが出てきます。
2. 小さな「任せる」の積み重ね
最初から大きな責任を任せるのではなく、「これは君に任せてみたい」「やってみてどうだった?」と、対話を通じて経験を積ませることで、徐々に自分の判断で動けるようになります。
3. フィードバックと承認
若手は、「自分のやり方で大丈夫だったのか」「もっと良い方法はあるのか」を気にしています。
小さな行動でも「助かったよ」「そのやり方、いいね」と声をかけることが、フォロワーシップを育てる土台になります。
こうした支援を通じて、若手自身が「自分はチームの一員として価値を発揮できている」と実感できるようになります。その結果、フォロワーとしての在り方を自ら模索するようになり、組織の一体感も高まっていくのです。
まとめ:一人ひとりがチームの一員として力を発揮できる組織へ
「メンバーシップ」や「フォロワーシップ」は、目に見えにくいものですが、職場の空気感や人間関係の質に直結する、極めて重要な概念です。
組織の中で若手が「自分の価値」を感じられること。
上司や先輩が、「この若手はチームの中で成長している」と実感できること。
その両方があって、はじめて人材育成は成功していると言えます。
私たちは、広島という地域に根ざしながら、企業と人が「なりたい姿」を実現するための伴走者でありたいと考えています。100社100通りの成長の物語を、共に紡ぐパートナーとして、組織と人に火を灯し、変化の先へとご一緒します。
お問い合わせはこちら
「若手がもっと主体的に動いてほしい」「チームとして機能する組織をつくりたい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
貴社にとって本当に必要なことから一緒に設計いたします。