「信頼される上司」人を育てる管理職に求められる『関わり方』の本質

よくある相談例

「若手社員の離職が続いていて…指導の仕方に問題があるのかもしれない…」
「どう接すれば、部下に本音を話してもらえるのか分からない…」
「注意したらすぐ落ち込む。パワハラにならないように気をつけているけど、正直どうしたらいいか…」

こうした声をよく耳にします。組織の中で育成する立場の管理職にとって、「部下とどう関わるか」は常に大きなテーマです。今回は、部下の育成における信頼される関わり方についてお伝えします。

人と仕事、両方を担う管理職の役割

管理職の役割は、「人」と「仕事」の両側面に分けられます。業務を進めるだけでなく、人を育てるという側面において、上司自身の姿勢や関わり方がそのまま部下の成長や組織の風土に反映されます。特に求められるのは、社内外からの信頼を得る存在としての在り方、そしてモラル・コンプライアンス意識を持ち、行動で背中を見せるリーダーシップです。

信頼関係を育てる日常のコミュニケーション

信頼関係は、特別な場面で築かれるものではありません。毎日の挨拶、話をするときは手と止めて目を見ながら、声のトーン、感謝や労いの言葉、身だしなみ、言葉の選び方、そうした何気ない関わりの積み重ねこそが信頼の土台となります。たとえば、感謝の言葉を素直に伝え、相手の反応に目を配る。関係にズレやギャップを感じたとき、逃げずに対話を重ねていく。そうした姿勢が、部下との信頼を深めていくのです。

また、部下とのやり取りで注意したいのが、こちらの意図が正しく伝わっているかどうか。上司が「伝えたつもり」でも、部下は理解できていないことがあります。これは言葉の選び方だけでなく、普段の関係性が言葉の届き方に影響していることもあります。信頼が築かれていないと、同じ言葉でも否定や圧力として受け取られてしまうケースもあるのです。

育成の土台は「相手を知る」こと

部下を育てるためには、まず部下の立場や背景を理解することが出発点です。時代や価値観の違いによって、若手社員の捉え方や動機づけのポイントは多様化しています。育成する側が「こうあるべき」と自分の価値観だけで接してしまうと、相手の反応にズレが生じやすくなります。

そのために必要なのが、「傾聴」と「観察」です。部下の言葉の奥にある意図や感情に耳を傾け、何に不安を感じ、どこでやる気を見せているのかを丁寧に見ていく。この姿勢が、信頼を育て、指導の効果を高めます。

また、指導そのものについても、「教える(ティーチング)」と「引き出す(コーチング)」の両方の視点が求められます。業務の基礎を丁寧に伝えるだけでなく、本人がどう考え、どう動こうとしているのかを問いかけることで、主体性を育むことができるのです。

やる気を引き出すフィードバックの力

「やる気を引き出す」ことも、管理職の大切な役割のひとつです。とくに評価面談の場では、形式的なやりとりではなく、部下が安心して本音を話せる空気づくりが求められます。評価の目的をしっかりと共有し、一方的にジャッジするのではなく、対話を通じて本人の成長を応援する関わりが求められます。

大切なのは、「部下に貼ってしまっているレッテル」に気づくこと。過去の失敗や印象だけで相手を見てしまうと、適切なフィードバックや関わりができません。評価とは、過去ではなく未来に向けての期待と支援なのだという意識が必要です。

多様性を認め合い、心理的安全性のあるチームをつくる

チームを育てるうえでは、「違いを認め合う力」も欠かせません。自分とは異なる考え方・価値観を持つ相手と協働するためには、まず違いに気付くこと。そしてそれを否定ではなく「面白さ」や「可能性」として受け止める姿勢が、対話の質を高め、チーム内の関係性を豊かにします。

その上で、上司としての役割は、「話しやすい雰囲気をつくること」。メンバーが遠慮なく意見を言い合える、時にはぶつかりながらも互いを尊重し、前向きな挑戦を後押しする――そんな心理的安全性のあるチームづくりが、成果を生む土壌となります。

まとめ:日ごろの関わり方が、信頼をつくり、それが土台となり、言葉が届く。

部下の定着や成長には、本人の「後輩力」だけでなく、上司の「関わり方」が大きく関係しています。信頼は、日々の丁寧な関係性の中で育まれていくもの。上司・管理職として、自らの関わりを定期的に振り返り、アップデートし続ける姿勢こそが、部下の学びと成長を引き出します。

私たちは「なりたい姿の実現に、共に挑む」パートナーとして、管理職の皆さまが“人と関係性を通じて人を育てる”ことを支援しています。

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