部下育成のスキル、職場だけで使ってませんか?

「部下を育てるって、難しいよなあ」と思ったこと、ありませんか?

経験が浅い部下には、どこまで任せていいのか悩むし、叱るタイミングも迷う。
褒め方ひとつ取っても、「これで合ってるのか?」と手探りの日々。
このコラムを読んでいただいている方の中に、そんな思いを抱えながら、日々お仕事に向き合っている方も多いかと思います。

実は私もその一人です。
そして今、その研修で学んだ「部下育成のスキル」を、私は職場とはまったく別の場面でも活用しています。

それが「家庭」です。

私の場合は子育てを通じて実感しましたが、これは育児に限った話ではありません。
パートナーとの対話や、家族との関係、あるいは地域やプライベートな場面における人との関わりでも、同じことが言えます。

「育てる」という行為は、仕事の中だけにあるものではなく、私たちの身近な日常の中にもたくさん存在しているのです。

たとえば、「ほめ方」や「しかり方」。

管理職研修ではよく、ほめるときは「具体的に事実・行動を褒める」
しかるときは「事実を伝え、人格を否定しない」といった基本が強調されます。
これはそのまま、家庭や私生活でも活かせる知恵です。

ほめる場面では、相手に「すごいね」と言う代わりに、「いつも◯◯を丁寧にやってくれてるね。助かってるよ」と行動に焦点を当てて伝える。
しかる・注意が必要な場面では、「なんでそんなことするの!」ではなく、「◯◯ができてなかったね、これは困るな、次から気をつけてくれると助かるな」と、
事実ベースで伝える。

これはまさに、部下育成で学ぶ「事実と行動に基づいたフィードバック」と同じ構造です。

職場を離れたとしても、「相手」があるシーンは数多あります。
そしてその相手は「自分とは違う視点を持つ存在」であるという点では共通しています。だからこそ、育成の原理原則はどこでも活きるのです。

実際にやってみたら…

筆者である私は、企業向けに管理職研修を企画する立場ですが、家では小学5年生の娘の父親でもあります。

ある日、娘が、決められた時間を過ぎてもニンテンドースイッチでゲームをやめなかったことがありました。
そして、その前日も同じ状況で、次の日は決められた時間を守る、と約束したばかりでした。そしてそれは何度も繰り返されていて・・・
私はつい感情的になってしまい、こんなふうに言ってしまいました。

「また約束守っとらんじゃん!はー、もうゲームは没収せんといけんわ!」

その直後、ふと我に返りました。
研修でも伝えている「事実→感情→支援」というフィードバックの型。あれを、自分はちゃんと実践できているだろうかと。

次の日、落ち着いてから、私は改めてこう伝えてみました。

「昨日、夜9時までって約束しとったのに、9時過ぎてもゲームしとったよね(事実)。
あれ見たとき、正直ちょっとがっかりしたんよ(感情)。
次からどうすれば時間を守れるか、一緒に考えてみん?」(支援)

すると娘は「うん」とうなずき、2人で「何分前にアラームを鳴らすか」「ゲームを始める前に時間を宣言する」など、具体的な工夫を決めることができました。

このとき、私は改めて実感しました。

育成とは、怒ることでも、甘やかすことでもない。 相手と一緒に、成長の道筋を探すこと。

これは、職場でも、家庭でも、地域でも、人と人との関わりがあるすべての場面で大切なことだと感じます。

育成とは、「人に向き合う力」

管理職研修で伝えている育成スキルとは、突き詰めれば「人に向き合う技術」です。
相手を一人の存在として尊重し、事実を冷静に伝え、支援の姿勢で関わる。

それは、家庭の中でも、友人関係でも、ちょっとした声かけの中にも活かせる考え方です。

「育てる」「関わる」という営みは、私たちの日常にあふれているのだと、改めて思います。

育児でも、育児以外でも、育成はつながっている

「仕事」と「家庭」は別ものだと思われがちですが、どちらも人と人が向き合い、支え合う場であることに変わりはありません。

職場で学んだ育成スキルを、家庭や身近な人間関係で活かしてみる。
その実践が、自分の人に向き合う力をさらに深めてくれる。そんな循環が生まれていくことを、私は日々実感しています。

人が育つ場に正解はありません。でも、共通する「原理」は確かにある。
それを知っている管理職こそ、さまざまな場面で信頼される存在になれるのだと思います。

私たちCAN be CAREERも、「なりたい姿になれる」可能性を、仕事でも家庭でも、誰にとっても支えていける存在でありたい。一人ひとり、一社一社の成長の物語に、これからも静かに寄り添っていきたいと願っています。

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