会議で、1on1で、育成面談で…よくある「話の迷子」
「今期、売上が伸び悩んでるよね、どうにかしないとね。」
「じゃあ、SNSでの発信を強化してみる?」
「いや、その前に商品ラインナップの見直しが先じゃない?」
「そもそも営業のアプローチ方法にも課題あるんじゃない?」
「ていうか、業務フローも見直さないと、受注が回らないでしょ?」
「あと、人手が足りてないのも大きいよね」
「それって採用計画の話?育成も絡んでくるんじゃ…」
「ところで・・・そもそも何を話し合ってたんでしたっけ?」
こんなふうに、話があちこちに飛んで、気づけば目的がわからなくなっている。
会議や打ち合わせの場で、そんな経験はありませんか?
目標、現状、課題、打ち手がごちゃ混ぜになって、「で、結局どうするの?」とモヤモヤしたまま終わってしまう。
職場でよくあるこの「話の迷子」状態から抜け出すための地図が、GROWモデルです。
GROWモデルとは?話を整理する4つの問い
GROWモデルは、次の4つの問いを順にたどることで、会話や思考を整理し、目標から行動までをつなげるための「対話の地図」です。
- G:Goal(ゴール)
何を目指しているのか?どんな状態を達成したいのか? - R:Reality(現状)
今、どこにいて、どんな状況なのか?進んでいる点・止まっている点は? - O:Options(選択肢)
Goalを達成するために、これまでどんな工夫や方法を試してきたか?また、他にどんな方法が考えられそうか? - W:Will(意思・行動)
どんな方法を選び、いつ・どうやって実行するか?
それぞれの頭文字をとって、G・R・O・Wです。
「目的 → 現状把握 → 方法の検討 → 意思決定」という、対話や問題解決の自然な流れを形にしたフレームです。
たとえば、こんなシーンで…
ある社員が、「最近、仕事の進め方に自信がなくて…」と相談してきたとします。
ここでGROWモデルを使って対話を進めてみると、こうなります。
- Goal(目標)
「どんなふうに仕事を進められるようになりたい?」
→ 「一つひとつ自分で優先順位をつけて、段取りよく動けるようになりたいです」 - Reality(現状)
「今はどんな状態?」
→ 「毎日その場しのぎで動いていて、予定外の対応に振り回されがちです」 - Options(選択肢)
「その目標を実現するために、これまでどんな工夫をしてみた?あと他にはどんな方法が考えられる?」
→ 「朝の段階で1日のToDoを整理するようにしていたんですが、続かなくて… 上司に優先順位の確認をお願いしてみるとか、週ごとに振り返る時間をつくるのもいいかもしれません」 - Will(行動)
「いいね!じゃあ、まず何からやってみる?」
→ 「明日から朝15分、予定を立てる時間を作って、その予定を上司に確認してもらうようにしてみます」
このように、「なんとなく困っている状態」から「自分で決めた一歩」へと、対話の流れが自然に変わっていきます。
コーチングだけじゃない、営業シーンでも活用できる
GROWモデルは、マネジメントや育成の場面だけでなく、営業のヒアリングや商談にも非常に効果を発揮します。
お客様との対話を通して、ニーズや課題を明確にしながら、本音や方向性を引き出していく場面にぴったりです。
実際、私が商談の場で、お客様からこんなご相談を受けたときに、GROWモデルで質問をしてみた例をご紹介します。
お客様:
「今やっている研修がもっと効果的になるようにリニューアルしたいと思ってるんです」
ここでGROWモデルの問いを活用すると、こういった対話になります。
- Goal(目標)
「今の研修をリニューアルしたいと感じていらっしゃるんですね、では理想的にはどんな研修にしたいとお考えですか?」
→ 「社員がもっと主体的に動けるような、行動につながる研修ですね」 - Reality(現状)
「理想の研修は社員が主体的に動けて、行動につながる内容ですね。では現在の研修は、どんな課題や違和感がありますか?」
→ 「研修直後はやる気になっているようなのですが、しばらくすると元に戻ってしまうような…」 - Options(選択肢)
「その理想の研修に対して、これまでどんな工夫をされてきましたか?」
→ 「社内でフォロー面談をやったことはあるんですが、なかなか続かなくて…」
「その他にどんな方法が考えられそうでしょうか?」
→「小さな行動を共有する時間を週1で設けるとか、チームで取り組めるスタイルにするのもいいかもしれませんね」 - Will(行動)
「それはいいですね!では、今後に向けてどんな取り組みが良いと思われますか?」
→ 「○月に予定している◆◆研修を機に、研修内容を変えるのではなく、研修前後の仕組みを見直ししてもいいかもしれませんね。その仕組みづくりを一緒に考えていただけますか?」
実際のヒアリングではこんなにシンプルな内容でありませんでしたが・・・、あくまでも参考事例としてご覧ください(笑)
とは言え、GROWのフレームを意識してヒアリングすることで、会話が自然に深まり、お客様自身も考えを整理できる時間になることは間違いありません。効果的かつ効率的にニーズを掴むことができるかと思います。
営業側にとっても、より的確な提案につながる情報が得られるため、単なる聞き取りではない価値ある対話として信頼関係の構築にもつながります。
話がかみ合わないのは、「順番」の問題かもしれない
育成やマネジメント、営業の現場でありがちなのは、
「ゴールを確認する前に方法・打ち手を決める」
「現状を整理せずに結論を出そうとする」といった
『順番飛ばし』があるときに、話がかみ合わない、なかなか話が前に進まない、などの問題が起きやすくなります。
GROWモデルは、問いの順番を整えることで、考えのズレを防ぎ、行動につながる対話を生み出します。
現場で迷子にならないための「対話の地図」を。
「え?今って目標の話?打ち手の話?てか、そもそも何の話だっけ?」
そんな風に会話が混乱してしまったとき、GROWモデルを使ってみてください。
問いの順番を整えるだけで、会話は整理され話題が前に進みやすくなります。
CAN be CAREERでは、GROWモデルを組み込んだオリジナル研修や、社内導入に向けた支援も行っています。
育成、マネジメント、営業支援まで、職種や階層を問わず活用できるフレームワークとして、貴社でもきっと力になります。
お問い合わせはこちらから
広島圏での人材育成に関するご相談はお気軽にどうぞ。貴社のなりたい姿に寄り添い、最適なプランをご提案いたします。