自己理解は「自分と他人の取扱説明書」。違いを尊重し機能するチームへ。

自分の特徴・強み・弱みを言語化することは、意外と難しいテーマ

新入社員であっても、中堅・管理職であっても、
「自分はどんな特徴を持つ人間なのか」を明確に言葉にできる方は多くありません。

研修の自己理解のワークや、面談の場に立ち会ってみたときに、
自分の行動パターンや思考のクセを問われた際、
「分かっているようで、実はよく分かっていない自分」に気づき、
言葉につまってしまう方をよくお見かけします。

たとえば、部下へのフィードバックの場面で
「相手の反応が気になって、本当のことを言えないんです」と悩む管理職の方がいらっしゃいます。
逆に、あまりにストレートな物言いに、部下を困惑させてしまう人がいたり。
また、全体像を掴みたい人が細かな指示に戸惑ったり、
具体的な手順を守りたい人が、ノリと勢いで進めてしまう人にイラついたりするケースも見られます。

どれも良い・悪いではありません。
生まれ持って右利き・左利きがあるように、
これはその人がもつ思考や感情に「利き手」があるということなのです。

自己理解ツールは「ラベル付け」ではなく「自分を扱うヒント」

世の中には MBTI、ストレングスファインダー、DiSC、エニアグラム、キャリアアンカー、価値観カードなど、多くの自己理解ツールがあります。
CAN be CAREERの研修でも目的に応じて活用しています。

私自身、MBTIを日本MBTI協会認定ユーザーである講師から
専門的なフィードバックを受け「INFP」というタイプという検査結果でした。

簡単にいうと私は、

Ⅰ:内向   一人で内省することでエネルギーがチャージされ
N:直観思考 直観的に未来や可能性をとらえ
F:感情優先 意思決定を気持ちや価値観を重視
P:計画未定 状況に合わせて柔軟に動く傾向がある

という特徴を持っています。

なんとなくそうだと思っていた自分の特徴が、明確な言葉として整理されました。
特に、休みの日に無意識に1人の時間をとろうとしたり、
直観が先行して細かな段取りを後回しにしてしまったり、
旅行に行くときには「着いてから行くところを決めたい」という感覚など。
そのパターンを客観的に認識できたことは大きな学びでした。

そして、最も学びになったことは、
「私のタイプとは異なる・対極にある特徴を持つ人がいる」ということです。

こうした対比が見えることで、
「だから相手はそういう行動を取るんだ」が理解でき、他者理解が一気に深まっていきます。

様々ある自己理解ツールの本質は、ここではないかと思います。

注意点は、自己理解を「逃げ」の理由にしないこと

ここで強調したいのが、
自己理解を「できない理由」や「苦手の正当化」に使わないことです。

たとえば、自分が「直観で動くタイプ」だと分かったとして、
だからといって、

「私は計画的に考えるのは苦手なタイプだから、計画を立てることはしなくていっか!」

とやらない理由にしてしまうのは、本来の自己理解ではありません。

自己理解の目的は、
できない理由を増長させることではなく、

傾向を理解したうえで、どう工夫し、どう成長につなげるか。

ここにあります。

内向型であっても、必要な場面では発信の仕方を工夫する必要や外交的に振る舞う必要がありますし、
直観型であっても、PDCAを回すための計画をつくらなくてはいけません。
感情型であっても、事実に基づいた判断やルールを厳守しなくてはいけないシーンもあります。

つまり、
自己理解は「できない事への免罪符」ではなく「成長の取扱説明書」なのです。

自己理解は「他者理解」の入り口でもある

自己理解の価値は、自分を理解することに留まりません。
相手との違いを理解し、尊重できるようになることが、組織において最も大きな効果です。

日常のコミュニケーションでは、
つい「相手も自分と同じように考えるはずだ」と錯覚しがちです。
しかし自己理解が深まると、

「あ、そっか。
 そもそも前提が違うんだ」

と、『自分と相手は違う』という気づきが生まれます。

この理解があるだけで、
相手と無暗にぶつかることが少なくなり、
自分を必要以上に責めることもありません。

さらに、違いを理解したうえで具体的な対策も取れるようになります。

・説明の仕方を変える
・依頼の順番やタイミングを工夫する
・情報量や抽象度を調整する
・フィードバックの言葉を選ぶ

これは、自己理解 × 他者理解によって生まれる効果であるとも言えます。

あなたの組織には、社員の「取扱説明書」がありますか?

自己理解は、自分を知るだけでは終わりません。
行動が変わり、違いを尊重し、チームとして機能するための土台づくりです。

あなたの会社の社員は、自分の強みを言葉にできますか?
他者との違いを尊重しながら働ける文化は育っていますか?

もし少しでも気になる点があれば、
ぜひ一度ご相談ください。
CAN be CAREERは、広島から、個人と組織がともに育つ人材育成を、私たちは伴走します。

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