今回は、若手社員〜中堅社員向けに特におすすめしたい、「伝わる力」をテーマにコラムをご紹介します。
私たちが企業からよく受ける相談のひとつに、こんな声があります。
「わかりやすく伝えているつもりなのに、なぜか誤解される」
「ちゃんと説明したはずなのに、相手の反応がイマイチ」
そんな経験、職場で一度はありませんか?
実はこれ、「伝え方」の技術や意識の差によって、業務効率も人間関係も大きく左右される、非常に本質的な問題です。
伝えることは、説明ではなく「共通理解」をつくること
仕事では日々、「情報を渡す」ことが発生します。
しかし、その情報が「相手にどう受け取られたか」まで意識できているでしょうか?
たとえばこんな場面。
- 上司に進捗を報告したら、「なるほど…で、結局何が言いたかったん?」と言われてしまう
- 後輩に説明したつもりが「え!?そんなこと言われてましたっけ?」と指示がきちんと伝わらない
- 顧客との会話で、論点がすれ違ったまま話が終わる
どれも、「伝えたこと」と「伝わったこと」のギャップが原因です。
伝えるとは、単に話すことではありません。
相手と同じイメージを共有すること。それができて初めて、「伝わった」と言えるのです。
わかりやすく話すための「型」がある
「わかりやすく伝える」には、実はちゃんとコツがあります。
代表的なのが、PREP法といわれる「Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論の再確認)」の順に話す構成法です。それぞれの頭文字をとってP・R・E・Pです。
たとえば、新しい業務改善の提案を上司に伝える場面で。
「このフローを変えることで、月10時間の削減が見込めます。なぜなら、現在の確認作業に重複があるからです。たとえばA工程とB工程で同じ書類を2回チェックしています。なので、ここを一元化すれば、効率化が期待できます」
このように、「相手が迷わず理解できる道筋」で話すだけで、驚くほど伝わり方が変わります。
「自分が話したいこと」ではなく、「相手が知りたいこと」
また、伝え方でもう一つ大切なのが、「相手目線で話すこと」です。
- 専門用語を減らし、日常的な言葉で言い換える
- 相手の背景や立場を想像して話を組み立てる
- 「相手が知りたいこと」から順に伝える
この視点が欠けていると、「話しているのに、かみ合わない」「伝わっている感がない」というもどかしさに陥ります。
伝えるとは、相手とキャッチボールをすること。
自分の投げたいボールだけを投げるのではなく、相手がキャッチしやすいボールを投げることが大切です。
言いにくいことを、逃げずに伝えるために
もうひとつ、仕事での「伝える」のハードルとなるのが、「言いにくいこと」です。
- ミスを指摘しなければいけない
- やり方を変えてほしい
- 態度や姿勢について注意したい
このような場面で、つい避けたり、遠回しに言ったりしてしまうことはありませんか?
もちろん、感情的にぶつけるのは逆効果。
そこで鍵になるのが、アサーティブ・コミュニケーションです。
アサーティブとは、「相手も自分も大切にする伝え方」。
たとえば後輩に対して「この資料、もう少し見やすくできるともっと伝わりやすくなると思うよ」と伝えるとき、
「なんでこんな資料にしたの?」という攻撃でもなく、
「まあ…いいんじゃない?」と目をつぶるのでもなく、
率直だけれど思いやりのある言葉で伝えることがアサーティブです。
ポイントは、
感情ではなく「事実」を伝える
自分の気持ちを「私は〜」の主語で表現する
改善に向けた「提案」や「お願い」を添える
たとえば、「会議中に何度か話を遮られてしまって、少し話しづらさを感じました。最後まで話を聞いてもらえると助かります」のような伝え方は、まさにアサーティブな一例。
「言わなきゃよかった」と後悔せずに、「言えてよかった」と思える関係性を築くために。
こうした声かけは、相手を責めるのではなく、関係性を壊さないまま大事なことを伝えるひとつの方法です。
伝え方を磨くことは、キャリアを磨くこと
伝える力は、どんな職種・職位でも必要です。
でも実は、多くの人が「我流」で乗り切ってきたスキルでもあります。
だからこそ、一度立ち止まって、
- 自分の話し方のクセを知る
- 伝える順番を見直す
- 相手目線での伝え方を練習する
こうした視点を持つだけで、仕事の成果も、人との関係性も変わり始めます。
「ちゃんと伝えた」ではなく、「ちゃんと伝わったかどうか」。
それが、あなたの言葉に信頼が宿る第一歩かもしれません。
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