「謝ったら終わり」ではない!こじれない、疲弊しない、プロのクレーム応対術

クレーム応対は信頼回復のチャンス

接客や営業、窓口応対など、人と接する仕事において、クレーム応対は避けて通れないテーマです。
「怒鳴られたらどうしよう」
「理不尽なこと言われたらいやだな」
そう身構えてしまう気持ち、よくわかります。

でも、あらかじめ心の準備と基本の「型」を身につけておけば、感情に振り回されることなく、落ち着いて応対できるようになります。むしろ、うまく応対できたときには、信頼を深めるきっかけにもなり得るのです。

クレームの背景には「感情」がある

そもそも、なぜ人はクレームを口にするのでしょうか。
実はその背景には、「期待していたのに裏切られた」「自分の思いを軽んじられた」といった感情があります。クレームとは、単なる不満の表現ではなく、「わかってほしい」という訴えの一つのかたちなのです。

一方で、近年はカスタマーハラスメント(いわゆる「カスハラ」)という言葉も広がってきました。常識を逸脱した要求や暴言など、サービスの範疇を超えた行為によって、働く人の心が深く傷つくケースもあります。
(これはまた別の機会に解説をしたいと思います。)
すべてのクレームに100%応じる必要はありません。でも、最初の応対で状況を落ち着けることは、私たちにできる予防策のひとつです。

第一声が空気を変える

そのために、まず大切なのは「構え」。
「申し訳ございません」「お話を伺ってもよろしいですか」
この第一声に、誠実さと落ち着きがにじんでいるかどうかで、その後の展開は大きく変わります。

言葉遣いや振る舞いは、信頼感を支える重要な要素です。
たとえば、状況に応じたお辞儀の使い分けや、きちんとした名刺の受け渡し方、相手の気持ちを和らげるクッション言葉。
逆に、「でも」「ですが」「だって」「ダメです」などの否定的な言い回し(いわゆる『D言葉』)や、友達口調、命令口調、断定口調は、相手の不満をさらに強めることがあります。

「話を聴く」ことで信頼を築く

相手が何を言っているのかを正確に聴く姿勢も欠かせません。
特に、感情が高ぶっている相手には、いきなり説明や弁明を始めるのではなく、「不快なお気持ちにさせてしまい、申し訳ありません」「お話を伺わせてください」という受け止めのひと言が、対話の土台を築きます。

事実の確認に進む際も、相手に寄り添った聞き方を意識しましょう。単に情報を引き出すだけでなく、認識のズレがないかを確認しながら、共通の理解を作っていく。その丁寧なプロセスが、信頼につながります。

解決策の提示にも工夫を

応対の肝となるのが「解決策の提示」。
ここでも、ひとつの正解を押しつけるのではなく、「Aというご案内もできますし、Bの対応も可能です」と複数の選択肢を提示することで、相手は自分で選んだという納得感を得られます。

もちろん、どうしても対応できないこともあります。でもその場合でも、「ルールなのでできません」と突き放すのではなく、「せっかくお申し出いただいたのに恐縮ですが、こうした事情で…」と、配慮の伝わる言葉選びをすることで、受け取られ方が変わってきます。

最後は信頼の芽を育てる

最後にもうひとつ、大事な視点があります。
それは、どんなにうまく応対しても、100%スムーズには終わらないこともあるという現実。
そうしたときこそ、「このたびは貴重なお声をいただき、ありがとうございました」「今後同じことが起きないよう、社内でも徹底してまいります」と、感謝と改善の意思を伝えることが、関係性の回復を後押しします。

クレーム応対は、単に「火消し」ではありません。
誠意と冷静さ、そしてプロとしての技術があれば、ピンチをチャンスに変えることもできる。
その先には、クレームを通じて生まれる信頼の芽が、確かにあります。

最後に:現場に安心と自信を届けたい方へ

「応対が怖くて、つい避けてしまう…」
「現場のスタッフにも安心して任せたい」
そんな声に応えるために、私たちは日々、クレーム応対の「力」を言語化し、届けています。

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