「AIの回答がピンと来ない」と感じ始めたら読むコラム。カギは『問いの構造化』

「なんか惜しい」「なんかピンと来ん」その違和感の正体とは。

ChatGPTなどの生成AIを使っていて、
「答えは出てくるけれど、なんか惜しいんよね~・・・」
「どうも答えがピンと来んわ・・・」
という感覚を持ったことはありませんか。
そしてしまいには「だから違うって!!もういいです!」なんて、
AIチャットの投稿欄に入れちゃったりなんかして・・・(私の体験談)

使い始めのころは「おおすごい!ここまでできるのか」と感動していたのに、
使い続けるうちに「結局、自分の考えを整理するには至らない。」と感じる。
私自身も、そんなAI疲れのような感覚を覚えた一人です。

でも、なぜその物足りなさが生まれるのか?
そこが気になって、AIを上手に使いこなしている人の話を聞いたり、
色んなAIのセミナーをのぞいてみたりしました。
すると、ある共通点が見えてきました。

それは、AIを上手く使っている人は、「問いの立て方」が非常に上手ということでした。

どう問いを立てるかによって、AIの答えはまったく変わる。そしてその問いを構築する力こそ、AIをフル活用するのに重要な力なのではないか、そんなふうに感じるようになったのです。

なお、当コラムは、私のような非IT、非エンジニア職の方向けの内容ですので、
AIを使って自動プログラミング!とか、AIを使ってビックデータ分析!とかの話は一切出てきませんので、ご留意ください・・・

生成AIを使う上で忘れてはいけない「G・I・G・O」

AIを使ううえで、忘れてはいけない言葉があります。
それが「G・I・G・O」Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れれば、ゴミが出てくる)という原則です。

AIは、私たちが入力した問いに対して粛々とその解を返す仕組みです。
つまり、AIの答えが「浅い」と感じるとき、それはAIの問題ではなく、こちらの問いがまだ曖昧なだけなのです。

たとえば、
「社員のモチベーションを上げる方法を教えて!」
と聞けば、ありきたりな一般的な答えが返ってきます。
でも、
「製造業の現場リーダーで、中堅社員が若手指導に前向きになるような工夫を3つ教えて」
と、少し具体的な表現に変えて聞きけば、その回答は前よりは少し具体的になって返ってきます。

とはいえ、それでも「自分の求める答えドンピシャ!」というレベルにはなかなか届きません。

AIの出す答えの深さは、こちらの問いの解像度にと比例します。
そこで重要になってくるのが、その設計図ともなる「思考のフレーム」なのです。

問いを磨く第一歩は「思考のフレーム」にあり。

課題解決をしたいのか。
アイデアを発想したいのか。
問題を分析したいのか。
マーケットの分析をしたいのか。
改善策を立案したいのか。
etc…

当然、目的によって使う思考のフレームは変わります。
つまり、AIを使いこなすには、思考を整理するためのフレームワークを自分の引き出しにどれだけストックできているかが、一つの鍵だと思うのです。

例えば。GROWモデルで問いを構造化してみる

たとえば、コーチングでよく使われる「GROWモデル」。
Goal(目標)→Reality(現状)→Options(選択肢)→Will(意思)の流れで思考を整理する型です。
これをAIへの質問に当てはめると、問いがとても立てやすくなり、具体性が出てきます。

そして、そのフレームの中に放り込む内容の解像度が高ければ高いほど、その解もより具体的になります。

例えば、GROWの「Goal」ひとつ取っても、ここをフレームワークの SMART を使って
「具体的(Specific)・測定可能(Measurable)・達成可能(Achievable)・関連性(Relevant)・期限(Time-bound)」
の観点で整理すると、目的がより明確になります。

また、「Reality(現状)」を考えるときには、ロジックツリーで真因を掘り下げたり、3C分析(顧客・競合・自社)で外部環境を整理したり、SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)によって内部と外部の要素を統合的に把握したりする。
こうしたフレームワークを組み合わせて使うことで、より具体的で深い「問い」が構築されていくのです。

答えの深さは、問いの解像度で決まる

AIの回答が「浅い」と感じるとき、
それはAIの性能の限界ではなく、“問いの解像度”が低いというサイン。
そして、その解像度を高めるのは、現場を知る私たち人間の経験と感性です。

たとえば「現場が疲弊している」という言葉一つを取っても、
「人手不足」「心理的安全性」「目標設定」など、背景はさまざま。
その文脈を読み取り、適切な問いを立てる力はAIでは補えません。

とはいえ、そもそも「それを考えるが時間」がない!という問題。

ただ、多くの地場企業様を見てきて思うのは、
「そんなことは分かっとるけど、それを考える時間がないんじゃい!」
という現状です。

実際、日々の業務に追われる中で、
「今日はSWOTで市場分析をする」とか、
「3C分析で競合や顧客情報を整理する」とか、
「現状起きている問題をロジックツリーで真因訴求する」
といった時間をじっくりかけて考えること自体が難しい。
それが、多くの企業が直面している本質的な課題なのではないでしょうか。

だからこそ、ある意味強制的に思考を巡らせる時間を確保できる研修やワークショップを活用する、
という手もあるのではないかと思います。

そしてその中で出てきた、解を元により解像度の高い「問い」を立てて、AIをフル活用する。
という流れができたら、すばらしいですね。

結局のところ、すべては「考える時間」をどう生み出すかから始まるのかもしれません。

終わりに。

CAN be CAREERは、地元企業様とともに、AI時代を勝ち残る思考する組織を育てるご支援をしています。
人が問い、考え、語り合う時間こそ、組織の未来をつくる力。
100社100通りの「共に考え、共に育つ」物語を、これからも広島から紡いでいきます。

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