【第4回~どうやって続けるん?】「事業戦略ってウチにも必要かも…」と思い始めた人のための、事業戦略の基本のキ

第3回では、戦略を「どう実行計画に落とし込むか」についてお伝えしました。後編では、実行した施策をどのように継続・改善し、進化させていくかに焦点を当てます。

■ 実行しただけで終わっていないか?

施策を動かし始めても、「やったことで満足」してしまい、放置されてしまうケースも少なくありません。
とくに以下のような状態は要注意です

その1:実施したかどうかの記録が残っていない
その2:成果に結びついたかどうか検証していない
その3:同じ課題が繰り返し発生している

こうしたやりっぱなしを防ぐには、進捗・成果を「見える化」する仕組みが必要です。

■ Checkフェーズを回す視点

施策のチェックは「できた/できなかった」だけでなく、成果につながったか? という効果面の視点を持つことが大切です。その際、KGI・KPIの設定が効いてきます。

KGI(Key Goal Indicator):
最終的に目指す成果指標(例:受注率25%)

KPI(Key Performance Indicator):
そのKGIに向けて途中で確認する行動・プロセスの指標。行動のプロセスや中間成果を測るもので、最終的なゴール(KGI)にどれだけ近づいているかを可視化するために活用されます。

たとえば:
KGI=受注率25% を達成したい場合・・・

KPIとして:
- ヒアリング項目の実施率(80%以上)
- 提案資料の差別化ポイント含有率(100%)
- 商談準備の平均時間(30分以上)

といった指標を設定すれば、施策が成果に向かって機能しているかを途中で確認できます。にどれだけ近づいているかを可視化するために活用されます(例:ヒアリングシートの使用率、提案資料の精度など)

このとき、前回作成したHOWツリーを活かすことで、KPI設計の整合性がとりやすくなります。

■ ▼ HOWツリー × KPI の構造(例)

KGI:受注率を25%に安定させる
---それぞれにKPIを設定
↓
どうすれば? → 提案の説得力を高める
---- ヒアリング項目の実施率(例:80%以上)
↓
どうすれば? → 顧客ニーズを深くヒアリングする/競合との違いを明確にする
---- 提案資料に差別化ポイントを含める比率(例:100%)
↓
どうすれば? → ヒアリング項目の標準化/過去事例の資料化/準備時間の確保
---- 商談準備にかけた平均時間(例:30分以上)
---- 過去事例テンプレの活用率(例:90%)

このように、施策の粒度に合わせて指標を設けることで、「やった感」ではなく「成果」につなげる意識が生まれます。

■ チェックを仕組みにする:KPTで回す

PDCAの「C」であるチェックフェーズを、習慣として回す仕組みも重要です。そこでおすすめしたいのが「KPT(Keep/Problem/Try)」というふり返りの型です。

▼ KPTふり返りの例(週次の提案準備ミーティング)

Keep:うまくいったこと・継続したいこと
 → ヒアリングシートが全員に使われていた

PROBLEM:課題・うまくいかなかったこと
 → 差別化ポイントの記載が一部提案に抜けていた

TRY:次に試すこと
 → 提案資料のチェックリストをつくって確認の習慣を入れる

この形式でふり返ることで、現場の改善意識を高め、自然と施策がブラッシュアップされていきます。

■ 最後に:戦略は仕組みとして根づかせてこそ意味がある

戦略は、考えて終わりではなく、実行して定着して改善されてこそ意味があるものです。そのためには、「やって終わり」にならず、小さく回して振り返りながら進化させる仕組みが必要です。

今回紹介したように、

HOWツリーで施策を構造的に分解し、
↓
KPIで成果の指標を設け、
↓
KPTでふり返りながら継続・改善する

といった流れを取り入れることで、チームに戦略思考と実行力の土台が育っていきます。

まとめ

これで全4回にわたる戦略立案の解説はひと区切りとなります。

戦略というと大げさに聞こえるかもしれませんが、今回お伝えしたように、実は日々の業務とつながる「考える順番」の話です。小さなチームでも、大きな組織でも、何を変えれば成果につながるか?を見極め、それを実行・改善していく。この流れを押さえておくことが、チームにとっても、マネージャーにとっても、そして組織全体にとっても、大きな力になります。

明日から少しでも、自分たちの仕事の意味と手応えを感じられるような、そんな一歩につながれば幸いです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

もし「自分たちのチームにこの流れを導入したい」「課題はあるけど、どこから着手していいかわからない」と感じた方がいれば、ぜひお気軽にご相談ください。私たちCAN be CAREERは、組織の成長を支援するパートナーとして、現場に根ざした実践的な支援を大切にしています。

戦略は、「つくる」ことより「継続する」ことが難しい。
だからこそ、外の力を上手に使ってみませんか?

あなたのチームの「進化」のお手伝いができれば嬉しいです。

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